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月刊きゅん最新号20244月号

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食こらむ 安達祐子の日々是好日~美味しいつぶやき

蓮と蓮華と蓮根('17.9月号)

食こらむ安達祐子の日々是好日~美味しいつぶやき

今年は、蓮を沢山観賞する機会に恵まれた。蓮の咲く、札幌の浄国寺では
蓮の花の写真展が行われ、観覧自由だ。知人がインドネシアの伝統技術デテックで、蓮の花を描いている。バリにも沢山咲いているそうだ。葉はお皿代わりに食卓に使っているという。

北見では、最北の蓮の池として、今年も多くの方がお盆前後に訪れた蓮
の池がある。農業の市田さんが旅先で見た蓮の花が忘れられずに、自分の畑を名所にしようと思いたち、東北や九州の蓮の産地も視察して作ったという。蕾がメロンくらいの大きさで、咲くと見事、一面極楽浄土である。白とピンクのグラデーションは心が、揺さぶられる可憐さである。感動した友達は来年も是非見にきたいと連絡をくれるほどである。人に教えたい名所になった。ちなみに北見の蓮を食べたいといってみたが、観賞用のもので食用ではないがレンコンも少しとれるとのこと。いつか食してみたい。

蓮と蓮華と蓮根('17.9月号)

ところで、蓮と蓮華と蓮根のことが気になった。蓮の花は、蓮華れんげといい。レンコンはハスの地下茎が肥大したもの。蓮は全体のことを指す。蓮の花が綺麗というのは蓮華のこと。レンコンは、先を見通す縁起がいい正月のおせち料理に、煮物に、酢漬けやチップス、辛しレンコンなど多彩な食材。すりおろして熱を加えると、餅のような食感になるらしい。日本では奈良時代にレンコンの栽培が始まったものの当時の在来種は収穫量が少なく、本格的に栽培されるようになったのは新たに中国種を導入した明治初期以降のことである。そのため、世界的にもレンコンを食用とするのは日本と中国(南部)だけだそうだ。インドでは神がハスから誕生したという神話から、聖なる花、吉祥の象徴とされ、種が多い事から多産・神秘のシンボルとなっている。また、仏の座がハスの花になっている蓮華座(れんげざ)といい、ヨガの座位のポーズにも、ハスにすわるお釈迦様をイメージする。インドが発祥の花でありながら、身近なところにハスはある。そしてしっくりくる。

北見の東洋一の花の楽園とうたわれた、フラワーパラダイスも、そもそもは個人の所有のもので、山の斜面に花畑をつくりたいという一人の思いから始まったという。毎日斜面に花や木を植えて完成したのだそうだ。ハスの池も長く市民に観光客に愛される場所になって欲しい。見頃は9月の初旬までで間に合う。ぜひお出かけを、夕方には花が閉じてしまうので午前中に。


安達祐子

安達 祐子(あだち ゆうこ) プロフィール

タスクおふいす祐 代表。
北見出身、札幌在住フリーアナウンサー。STVラジオパーソナリティ。北海道フードマイスター。
北見観光大使、津別観光コンシェルジュ、 オホーツク観光大使として道東の情報発信 に奔走。UHBグルメリポーターとして取材した店は4,000軒以上。食と観光の講演も行う。好物はホルモン。

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