月刊きゅん|暮らしにきゅん生活情報誌

月刊きゅん最新号20244月号

月刊きゅん最新号

食こらむ 安達祐子の日々是好日~美味しいつぶやき

ハッカ銘菓('18.6月号)

食こらむ安達祐子の日々是好日~美味しいつぶやき

北見といえば……焼肉の街。最近はLS北見の影響で、カーリングの街ですねと言われるかもしれない。そう言われたら嬉しい。北見といえば、今も昔もハッカの街というイメージも強い。その昔、北見のハッカは世界の7割の生産だったことがある、今は農産物としての役割が終わって、商業産品としてハッカ商品が広く作られている。

ハッカを使ったお菓子の中で、ハッカ樹氷を看板にする創業昭和25年、山樹氷の会社を訪ねた。出迎えてくれた、先代からすると、ひ孫に当たる専務の高桑弘基さんは、信金勤めから近年家業に入った。長年愛されつづけている商品を守りたいという責任感があるという。専務の新しい感覚でできた、流氷物語という流氷観光応援の商品を知り、ラジオでも紹介させていただいた。パッケージには流氷の説明もあり、アジアの観光客にも評判だった。老舗ならではの挑戦である。

ハッカ銘菓('18.6月号)

そんな繋がりもあり、今回伺った事務所と隣接してる工場に驚いた。写真の通り、創業時代からの窯や秤ざるが並ぶ、天井の梁から吊されているのも作業工程が手作業で進んでいるのがわかる。生豆から炊き上げ、じっくり蜜に漬けて甘納豆をつくり、ハッカの糖衣をかける職人の感覚も非常に大事であろう。地域の方に見ていただきたい、まるで記念館のような作業場だった。そもそも、先代が香港から小樽経由で常呂に入り、畑を借りて農業を始めたが上手くいかず、小樽の親戚が甘納豆屋をやっていて、夜行列車に乗って何度も通いながら、今の甘納豆の技術を習得したという。白い糖衣がかかった樹氷納豆を看板に商売を始める。北見はハッカの街だからハッカを入れた甘納豆を作ってはどうかというお客様からのご意見をヒントにハッカ樹氷が生まれた。昭和の札幌のデパートは各地の人気菓子が並んでいて、白い恋人やトラピストクッキー、その並びにハッカ樹氷もあった。当時の業界紙を見せていただくと誇らしげに並んでいる。

久しぶりに先日いただいて、爽やかなミントの香りが広がる甘納豆の懐かしい味が広がった。お茶にもコーヒーにも合う。仕事の合間にほっとひと息に最適。北見のコンビニでレジ横に扱ってくれるお店もできたという。老舗の味・イメージを守りながら、観光に土産に日常にお菓子の役割は多い。実は今年の北見の観光は菓子でという企画が去年から進んでいる。オホーツク菓子屋巡りクーポン。北見のモグモグ菓子が今、全国的に注目を集めているのでいい追い風になるかと。やるなら今である。菓子屋は地域のランドマーク、地域の素材や風景や歴史を語る。街とともにこれからも成長していってほしい。北見といえば…お菓子の街でしょうという未来も近い。


安達祐子

安達 祐子(あだち ゆうこ) プロフィール

タスクおふいす祐 代表。
北見出身、札幌在住フリーアナウンサー。STVラジオパーソナリティ。北海道フードマイスター。
北見観光大使、津別観光コンシェルジュ、 オホーツク観光大使として道東の情報発信 に奔走。UHBグルメリポーターとして取材した店は4,000軒以上。食と観光の講演も行う。好物はホルモン。

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