端野の緋牛内深田さんのBOSS AGRI VINE YARDでは、今年も収穫の時を迎えた。酪農から転身して、趣味で作り始めたというが、今や6種類ほどのブドウを生産する立派なビンヤードだ。
ビンヤードとは、葡萄を生産する農場の事。世界ではブドウの1割が生食用で8割が醸造へ、日本にいたっては、8割が生食用で1割が醸造用なので、専門のブドウ畑の景色は珍しいかもしれない。それでも北海道はワイン用のブドウの栽培面積が日本一。温暖化にともない果物の産地として、これからの可能性として道産のワインは注目の的だ。
北海道のワインの歴史は、池田町からはじまりたかが50年ほどで、フランスやイタリアには到底およばないが、気候を風土をどう生かしていくか、あと50年はゆっくり成熟を見守ろう。ある醸造家が言った、あと50年先にもっと美味しくなるために僕は今創ると。
この日は、山幸の収穫をボランティア15人ほどで作業に励んだ。お弁当を食べ記念写真に納まった。収穫されたブドウは翌日に搾られ、来年の夏には、出来上がる。山幸は山ぶどう系の品種で色も濃く深みもあり、深田さんの所では陰乾しして水分を少し除き、果実を濃縮させたデザートワインにもしている。
天候もよくブドウの出来もいい、お手伝いの方には1本贈呈されるので、皆で乾杯したい。北海道のワインは未完成のものが多い、だからその土地の食べ物と合わせて初めて完成する。お互い補えばいい。飲食店の方にもどんどん現場に足を運んでもらいたい、そしてイメージしてもらいたい。こんな料理ならこんな素材ならこのワインが美味しくなると…これがマリアージュだ。
北見では葡萄の樹が雪で覆われるまでに氷点下20度まで温度が下がる。凍害を防ぐ必要があり、保温材で覆い雪をまつ。来年には、同じ緋牛内に、醸造施設ワイナリー未来ファームInfeeld ができる。オホーツク初のワイナリーだ。
小麦も肉も野菜も住んでいる地域で賄う、地域でできたお酒をお供に楽しむ食卓。囲むひと時。これぞ最高のテロワールであり、同じ気候土壌で育った地域の人達こそ美味しく楽しめる食がそこにある。最高の贅沢だと思う。未来に残すべきものの一つに北海道のワインがあることは間違いない。末永く未来のために、育てていくべき葡萄とワインが北見にもあります。
タスクおふいす祐 代表。
北見出身、札幌在住フリーアナウンサー。STVラジオパーソナリティ。北海道フードマイスター。
北見観光大使、津別観光コンシェルジュ、 オホーツク観光大使として道東の情報発信 に奔走。UHBグルメリポーターとして取材した店は4,000軒以上。食と観光の講演も行う。好物はホルモン。
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