月刊きゅん|暮らしにきゅん生活情報誌

月刊きゅん最新号20245月号

月刊きゅん最新号

食こらむ 安達祐子の日々是好日~美味しいつぶやき

麺でつむぐ地域と未来の製麺所('19.6月号)

食こらむ安達祐子の日々是好日~美味しいつぶやき

北見の製麺業、株式会社ツムラは、業務用を中心にしたうどん、冷や麦、パスタを製造している。スーパーでも手軽に買うことができ、近年はオホーツクの小麦を使い、また催事などに出ることも多いのでお馴染みの方もおおいだろう。北見における麺の歴史はここから始まったと言っても過言ではない。初代津村春吉が香川県から北海道の地に入植した昭和24年に、北見で創業し70周年をむかえた。昔は納豆や豆腐も製造していて、それで元々の津村製麺から社名が株式会社ツムラになった経緯もあるそうだ。

この地域で、育てられた麺会社を、今まで以上に麺を通じて地域の価値を高めていきたいという思いが現実になった場所ができた。【つむぐラボ】のオープンは、地域開放型の社員食堂という今までにない形で話題になっている。なんといっても、ツムラ製麺の商品が工場の隣りで食べられる、商品も買えるといった話題性。

会社は、工業団地内で、周囲に一食店がなく、昼食をとらないことが多かった社員向けの食堂として営業を開始した。さらに、地域との交流の場、地域の食材を使い研究開発する場、ラボとしても開放し活用している。出汁や調味料、食の勉強会も数回行われている。

麺でつむぐ地域と未来の製麺所('19.6月号)

工場直であるから安心安全であるのはもちろん、うどんと生ひやむぎの食べ方も自宅での参考になる。簡単ご飯のイメージの強い麺だからこそ、出汁も素材も吟味したものを提供し、人気なのが、いいとこ取りのラボセット。柔らかいとり天、ぶっかけ冷や麦に、母の手作りいなり寿司、小鉢、ぜんざいに珈琲まで付くスペシャルセットは、少しずつ沢山食べたいお客様の要望で生まれたメニュー。今後もメニューが増えるようだ。イメージは四国の製麺所でやっている食堂の雰囲気から、少しこぎれいになってしまったと社長は笑ってましたが、お客様の声が聞ける場というのも、製造業としてはありがたいようだ。

時代と共に求められている方向に進化し100年続く麺会社への一歩。こういう場を作りたいと、語った時からそんなに経っていないことを思うと時代が求めていた形なのではと思う。

北見市豊地の株式会社ツムラに併設され、工場稼働の平日に営業していますので、ランチにお出かけしてみては。麺でつぐむ地域と未来と製麺所が、地域の人が自慢したい、地域を誇れる場所になり笑顔が益々溢れますように。


安達祐子

安達 祐子(あだち ゆうこ) プロフィール

タスクおふいす祐 代表。
北見出身、札幌在住フリーアナウンサー。STVラジオパーソナリティ。北海道フードマイスター。
北見観光大使、津別観光コンシェルジュ、 オホーツク観光大使として道東の情報発信 に奔走。UHBグルメリポーターとして取材した店は4,000軒以上。食と観光の講演も行う。好物はホルモン。

Ⓒ 月刊きゅん-(株)北方広放社 All Right Reserved.